イミュータブルインフラストラクチャは、コンポーネントを変更するのではなく、置き換えることでITインフラストラクチャを管理するアプローチです。このパラダイムでは、インフラストラクチャは使い捨てとして扱われ、デプロイ後に変更されることはありません。代わりに、変更が必要な場合は、目的の変更を加えて新しいインフラストラクチャがプロビジョニングされ、古いインフラストラクチャは廃止されます。
イミュータブルインフラストラクチャの主要な原則
- インプレース修正の禁止: インフラストラクチャがデプロイされたら、決して変更されません。これは、サーバーにログインして変更を加えたり、設定を更新したり、パッチを適用したりしないことを意味します。
- コードとしてのインフラストラクチャ: インフラストラクチャは、通常、構成管理ツールやインフラストラクチャプロビジョニングツールを使用して、コードで定義および管理されます。これにより、バージョン管理、自動テスト、再現性が可能になります。
- 使い捨てのコンポーネント: インフラストラクチャコンポーネントは使い捨てとして扱われます。変更が必要な場合は、新しいコンポーネントがプロビジョニングされ、古いものは廃止されます。これにより、設定のドリフトが減少し、一貫した状態が保証されます。
- 自動化されたプロビジョニング: インフラストラクチャのプロビジョニングは完全に自動化され、新しいインフラストラクチャコンポーネントを迅速かつ一貫してデプロイできます。これは、Terraform、CloudFormation、Ansibleなどのツールを使用して実現されることが多いです。
イミュータブルインフラストラクチャの利点
- 一貫性: インフラストラクチャをイミュータブルとして扱うことで、コンポーネントのすべてのインスタンスが同一であることが保証され、設定のドリフトが減少し、環境がより予測可能になります。
- 信頼性: イミュータブルインフラストラクチャは、手動での変更によって引き起こされる人的エラーのリスクを減らします。また、デプロイ前にインフラストラクチャをテストおよび検証することが容易になります。
- ロールバックの容易さ: 新しいデプロイで問題が発生した場合、ロールバックは、インフラストラクチャの以前のバージョンに切り替えるだけの簡単な作業です。変更を手動で元に戻す必要はありません。
- より速いデプロイ: 自動化されたプロビジョニングと手動での変更の必要がないことで、新しいインフラストラクチャのデプロイがより迅速かつ効率的になります。
- セキュリティの向上: イミュータブルインフラストラクチャは、サーバーへの直接アクセスの必要性を最小限に抑えることで、攻撃対象領域を減らします。また、コンポーネント全体を置き換えることで、インプレースで変更するよりも迅速にパッチを適用したり更新したりできます。
課題と考慮事項
- 学習曲線: イミュータブルインフラストラクチャを採用するには、考え方の転換が必要であり、コードとしてのインフラストラクチャや自動プロビジョニングなどの新しいツールやプラクティスの習得が必要になる場合があります。
- ストレージ要件の増加: 変更ごとに新しいインフラストラクチャがプロビジョニングされるため、特にロールバック目的で古いバージョンを保持する場合、ストレージの需要が増える可能性があります。
- アプリケーションの互換性: 一部のアプリケーションは、特にローカルの状態に依存していたり、ミュータブルなインフラストラクチャを前提としていたりする場合、イミュータブルインフラストラクチャ環境ではうまく機能しないかもしれません。
結論
イミュータブルインフラストラクチャは、一貫性、信頼性、自動化を重視したITインフラストラクチャを管理するための新しいアプローチを提供します。インフラストラクチャを使い捨てとして扱い、コードとしてのインフラストラクチャや自動プロビジョニングなどのプラクティスを活用することで、組織はより迅速で予測可能なデプロイ、容易なロールバック、セキュリティの向上を実現できます。イミュータブルインフラストラクチャを採用する際の課題はありますが、それがもたらす利点により、現代のIT環境でますます人気の選択肢となっています。