サービスメッシュとは
サービスメッシュとは、分散アプリケーションにおけるマイクロサービス間の通信を管理、観測、および保護するためのインフラストラクチャ層です。アプリケーションの異なる部分がどのようにデータを共有するかを制御する方法を提供し、サービスディスカバリ、ロードバランシング、暗号化、認証、認可などの機能を実装します。
サービスメッシュの主要コンポーネント
- データプレーン
- 各サービスインスタンスの横にデプロイされるインテリジェントなプロキシ(サイドカー)の集合で構成されます。
- プロキシは、サービス間の通信、ルーティング、ロードバランシング、およびその他の機能を処理します。
- データプレーンのプロキシの例には、Envoy、NGINX、Linkerd2-proxyなどがあります。
- コントロールプレーン
- データプレーンのプロキシを管理および設定します。
- サービス間の通信に関するポリシーと設定を提供します。
- 観測性のために、プロキシからテレメトリとメトリクスを収集します。
- コントロールプレーンの例には、Istio、Linkerd、AWS App Meshなどがあります。
サービスメッシュの機能と利点
- トラフィック管理
- サービス間のトラフィックの流れを制御し、ルーティング、分割、フェイルオーバーなどの機能を実現します。
- カナリアリリースやブルーグリーンデプロイメントなどの高度なデプロイメントパターンをサポートします。
- 観測性
- メトリクス、ログ、トレースを通じて、サービスの動作とパフォーマンスの洞察を提供します。
- 分散トレーシングにより、システム全体のリクエストの流れを理解できます。
- セキュリティ
- 相互TLS(mTLS)を使用してサービス間の通信を暗号化します。
- サービス間の通信の認証と認可の機能を提供します。
- 回復力
- サーキットブレーカー、リトライ、タイムアウトなどの回復力パターンを実装します。
- 障害の連鎖を防ぎ、システム全体の安定性を向上させます。
サービスメッシュとKubernetes
サービスメッシュは、Kubernetesなどのコンテナオーケストレーションプラットフォームと組み合わせて使用されることが一般的です。Kubernetes環境では、サービスメッシュのプロキシは通常、各サービスのPodにサイドカーとしてデプロイされます。コントロールプレーンは、Kubernetesクラスタ内の一連のサービスとしてデプロイされます。
Kubernetesで人気のあるサービスメッシュの実装には以下のようなものがあります。
- Istio:幅広い機能と統合を提供するオープンソースのサービスメッシュプラットフォームです。
- Linkerd:使いやすさとパフォーマンスを重視した、軽量でシンプルなサービスメッシュです。
- Consul Connect:HashiCorp Consulの上に構築されたサービスメッシュソリューションで、サービスディスカバリとセグメンテーションを提供します。
サービスメッシュは、分散システムにおけるマイクロサービス間の通信を管理および保護するための強力な機能セットを提供します。複雑なマイクロサービスアーキテクチャにおけるサービスディスカバリ、トラフィック管理、観測性、セキュリティの課題に対処するのに役立ちます。